「弱くても勝てます」を読んだ感想

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー

超進学校として知られる開成高校
本書はその硬式野球部の活動を追ったルポルタージュです。
あくまでルポですので、少年マンガのような感動的なストーリーが展開されるわけではありません。
思わずうなってしまうような、新しい頭脳戦法もなし。
この本が面白かったのは、その練習の考え方の奇抜さです。


◆いかにしてハンデを埋めるか

なんと開成高校野球部は週1回しかグラウンドで練習できず、その一日も雨が降ったら使えないそうです。試験期間と重なると、一ヶ月近くグラウンドで練習できないこともあるとか・・・。
もともと野球の才能に恵まれているわけでもない(失礼)のに、練習も満足にできないというハンディキャップ。
監督や部員たちは、そんなハンデを埋めるべく、いろいろ工夫しながら練習に取り組まれていますが、その練習への考え方がすごい!

セオリーの前提は「10点取られる」ということ。

1試合で各ポジションの選手が処理する打球は大体3~8個。そのうち猛烈な守備練習の成果が生かされるような難しい打球は1つあるかないかです。我々はそのために少ない練習時間を割くわけにはいかないんです

――追いかけながら捕らなきゃいけないこともあるんじゃないですか?
私の指摘に監督はきっぱりと答える。
「そういうゴロは、ウチでは『例外』として考えます。捕らなくてもいいんです」

・ピッチャー/投げ方が安定している。
・内野手/そこそこ投げ方が安定している。
・外野手/それ以外。

打撃で大切なのは球に合わせないことです


これまでの野球のセオリーを覆すような、ぶっとんだ考え方。
しかも、実際に大会で結果を出している・・・。(平成17年、東東京予選ベスト16。平成24年、同ベスト32。)
ある意味、マンガよりもすごい展開だと思います。


◆野球というスポーツの奥深さ

開成高校野球部は、ちょっと前まではまったく試合に勝てず、公式戦に勝つのも4,5年に1回。夏の予選も1回戦で勝つことがずっと目標だったそうです。
本書を読む前の私のイメージはまさに「それ」だったんですが(失礼)、現監督が就任して、野球への考え方を変えることで、勝てるチームへと変わっていく。物理的なハンディキャップを前にしてもあきらめることなく、「考えること」で状況を変えていこうという姿は、非常にすばらしいと思います。


僕らみたいに運動神経がない人間は、他の競技だったら、その運動神経のなさがモロに出て、やりようがなかったと思うんです。でも野球は違う。野球は運動神経がないならないなりにやりようがある。投げ方にしても打ち方にしても、ちゃんと考えることでできるようになる。哲学してるみたいで楽しいんです

これはある部員さんの言葉。
本書を読んで、野球というスポーツの奥深さを改めて感じました。


最後に、私がこの本を読んで最も吹き出した一文を。

「バッティングの難しい点は、球が前から来ることです」


・・・野球は本当に奥が深い。