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「MEDIA MAKERS」(メディアメイカーズ)を読んだ感想

 

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

 

田端信太郎氏の著書『MEDIA MAKERS』を読みました。

メディアというタイトルを見ただけで

・一般人にはあまり関係ない世界

・対象が多すぎるので「広く浅く」の本だろう

などと勝手に想像していました。

ところがどっこい。

そこらの新書以上にわかりやすく、比喩や挿話もおもしろい!

門外漢の私でもぐいぐい話に引き込まれます。

本書は200ページしかありませんが、その中に恐ろしい密度で著者の知見がまとめられており、読み応えのある一冊でした。

 

 

◆コンテンツを分類する三次元マトリックス

 

本書を読んで印象に残るのが、メディアやコンテンツを分類する三次元マトリックスという考え方。

「ストック」―「フロー」

「参加性」 ―「権威性」

「リニア」 ―「ノンリニア」

という3つの軸が、コンテンツの特性を考える上で、非常にわかりやすい補助線となってくれます。

簡単に言うと、

 

ストック :賞味期限の長いコンテンツ。「源氏物語」、ウィキペディアの記事など。

フロー  :鮮度が命のコンテンツ。新聞や芸能記事、ツイッターなど。

参加性  :誰でも編集可能。「食べログ」など。

権威性  :編集者が成果物をコントロール。「ミシュラン」など。

リニア  :頭から最後まで見てもらうことを想定。映画・長編小説など。

ノンリニア:順不同で断片的に見てもらうことを想定。辞書・カタログなど。

 

というイメージになるのですが、その背後には「時間」「編集責任」「ユーザーの時間軸コントロール」など、深い概念がいくつもあり、読めば読むほどよく練られたマトリックスであることがわかります。

特に「映画は、これ以上は考えられない!というくらいに「リニア」志向に振り切られたコンテンツ」という下り(P88)は目から鱗で、思わず「なるほど!」と膝を叩いてしまいました。(その理由は、「ユーザーの時間軸コントロール」に有り。)

いろいろなメディア・コンテンツに応用できる、斬新な考え方だと思います。

 

 

アーキテクチャによる支配

 

個人的に一番感銘を受けたのがこの章。

クリエイターは、ただ「良いモノ」を作ればいい、と思っていた。

しかし、この本を読んで、その認識が甘かったことに気付かされました。

 

アナログ盤⇒CD⇒DL販売という技術環境の変化が、音楽作品の作り方を変えた。

グーグルが、タイトル・見出しを変え、文章や文体そのものまでも変えている。

配信技術や閲覧デバイスの環境は、コンテンツに対し、無色透明なパイプではない。

牛丼店にある椅子の高いカウンター席のように、利用者に無言のメッセージを投げかけ、行動に影響を与える。そんな「アーキテクチャによる支配」が、メディア消費の場においてもユーザーに強い影響力を持つということが、本書ではわかりやすくまとめられています。

 

「プロの料理人ならば、店は汚くても、立地が悪くても「うまい料理を丹誠込めて作ればイイ」と居直る人はまずいません。お客さんが「どんな席でどのように食べられるか」に必ず注意を払います。」(P161)

 

うーむ、なるほど・・・。

うまい料理を作るだけじゃだめなのね・・・。

 

 

◆一個人として

 

この本は、単なるメディア業界の俯瞰図ではなく、一貫して「誰もが情報の作り手であり、誰もがメディアになれる」という視点から書かれてある、と感じました。

ですから、一般人の私にも非常に読みやすく、著者のメディアに対する熱き思いがヒシヒシと伝わってきます。

個人メディアについても様々な言及がありますが、ブロガー歴1年未満の自分にすら、いろいろと刺さるものがありました。

ブログを書く人はもちろん、一般の教養書としても楽しめる一冊だと思います。