読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日本人の仕事は今後どうなるのか

時事・社会

 【読了目安:7分】

 

日本の雇用に関して、暗いニュースが続いています・・・。

今、この国でいったい何が起きているんでしょうか。

ちょっと自分なりに考えを整理してみました。

 

まず、日本人が就く仕事を、便宜上2つに分けてみます。

「日本国内の仕事」と、「国外でも成り立つ仕事」の2つ。

 

f:id:souheinaoshima:20120923173442p:plain

 

前者は、例えば接客業や公務員、医者、飲食店など、国外に移転できない仕事です。

後者は、「国内でもできるけど、国外でもできる仕事」や「海外市場をターゲットにした仕事」です。例えば工場での作業やIT関連業、研究職など。グローバル市場で成果を競い合う業種もここに入ります。

 

さらに「日本国内の仕事」を「日本人にしかできない仕事」と「外国人労働者でもできる仕事」に分けてみます。日本語を十分に理解していないと話にならない仕事が多く、それが外国人にとって、一種の参入障壁になっているからです。

 

f:id:souheinaoshima:20120923173630p:plain

 

公務員や政治家は、法律の壁に守られていて、外国人にとって替わられることはまずありません。

医者や弁護士、税理士などの高度な日本語を必要とする職業も、日本人しかなれないと思います。

一方で警備員やレジ打ち、タクシー運転手などは外国人でもできないことはありません。介護サービスや農作業ではすでに外国人が就労している例があります。

 

 

こうやって、職業を大雑把に3つのエリアに押し込んでみました。

エリア分けをすることで、それぞれの領域が抱える問題点がうっすらと見えてきます。

 

f:id:souheinaoshima:20120923173653p:plain

 

 

◆エリアA(国外):弱肉強食の戦場

 

まずAのエリア「国外でも成り立つ仕事」ですが、ここのメリットは市場が膨大であり、スキルと才能次第でいくらでも上を目指せる点。

技術力があり、優れた製品を生み出せれば、世界中で稼げるかもしれません。

スキルのある人材は、それこそ世界中の企業からひっぱりだこになるでしょう。

野球やサッカーのような海外にも市場があるプロスポーツ選手はまさにその典型。

 

一方、デメリットは「競争が激しすぎる」点。

世界規模の競争ですので、当然ライバルも強力です。

高度なスキルを必要としない仕事、誰でもできる仕事は、あっという間に人件費の安い途上国にとって替わられます。

国内の工場が閉鎖され、国外に移転するのはこのケース。

プログラマーや経理作業、コールセンターのスタッフなんかも同様の危険性をはらんでいます。

また技術力があったとしても、その技術がコモディティ化したり、外国人が同じ製品をもっと安価に作れるようになったりすると市場競争に敗れ、一気にピンチになることも。

最近の例では、薄型テレビや太陽電池産業が該当するのでしょうか。

 

このフィールドで生き残るには、技術力、革新性において、常に世界上位であり続けないといけません。

ひとりの労働者として、常に自分のスキルを高め、成果を出し、どこかの企業から必要とされる人材であり続けないといけません。

弱肉強食のおそろしい戦場です・・・。

 

 

◆エリアB(国内1) :減り続ける内需

 

次にBのエリアですが、ここは日本語の壁で守られているため、ひとりの労働者としては、Aのエリアほど競争は熾烈ではありません。ライバルは同じ日本人に限られます。

最終面接に行ったらMIT卒の秀才がいたとか、4ヶ国語ペラペラの人と競うことになったとか、そんな事態はめったにないでしょう。

じゃあこのエリアは日本人だけのパラダイスかというと、もちろんそんなことはありません・・・。

どの企業も不景気に苦しみ、労働者もリストラや非正規採用の横行で苦しんでいます。

 

ここの問題点は、「国内の需要が縮小していること」の一点に集約されるのではないかと考えています。

国内でしかできない仕事群ですので、その「お客様」も日本人がほとんどです。

その日本人が、少子高齢化の影響でどんどん減っている。

特に消費が旺盛な(いやでも消費せざるを得ない)若い子育て世代の減少が顕著です。

 

f:id:souheinaoshima:20120923174038p:plain 

 

 f:id:souheinaoshima:20120923174045p:plain

 

藻谷浩介氏が著書「デフレの正体」で指摘しているように、景気というものは人口の波の影響をもろに受けます。

日本の生産年齢人口の減少が止められない以上、国内エリアは今後も慢性的な不景気が続くことが予想されます。

 

不景気が続き、商品が売れなければ、そのしわ寄せは労働者(特に若者)に押し付けられます・・・。

正社員採用を減らし、パートや派遣などの非正規労働者を増やして、企業は人件費を抑えようとする。

雇用環境は劣化し、若者の賃金は低いまま。

かくして国内市場のパイがさらに縮む・・・という、絵に描いたような悪循環です。

国内向けの製品を作る会社も、国内向けのサービスを提供する会社も、悩みの根っこの部分は同じだと思います。

 

 

◆エリアC(国内2) :日本語の壁すらない

 

Cのエリアは、さらに危機的な状況です。

国内の需要が減っていくのは上記のBエリアと同じですが、日本語の壁に守られていないため、人件費の安い外国人労働者に簡単に置き換えられてしまうからです。

もし政策で外国人労働者の受け入れが始まったら、えらいことになるのは間違いないと思います。

 

 

 

◆国としての選択肢

 

こうして考えると、日本の取るべき進路が(理論上は)いくつか見えてきます。

  1. 教育で技術力の向上を図り、Aのエリアで活躍できる人材を多数生み出す
  2. 国内の需要を増やす
  3. 日本でしか作れないものを、世界市場で売る(メイドインジャパンのブランド化)

 

1はこれまでもやってきた取り組みですし、これからも当然続けていくべきことでしょう。

「日本の資源はヒト」とは昔から言われ続けてきたことです。

(教育の内容をどうすべきか、についてはここでは触れません。)

 

2は具体的には観光客を増やす、出生率を高める、移民の受け入れなどが考えられます。

(それぞれの是非については、ここでは触れません)

要は国内市場でお金を使ってくれる人を増やすこと。

眠ったままで使われない個人資産を市場のサイクルに戻す、というのも重要なアプローチだと思います。

 

3は、飲料水のエビアンや、スイスの時計産業なんかのイメージでしょうか。

「日本で作られた◯◯が欲しい」と海外の消費者に思わせるようなものを、日本人が生み出せるか。

日本人にしかできない(作れない)が世界市場で売れる商品、というのが理想形だと思います。

前述の『デフレの正体』から、以下に引用。

 

「アジアが伸びてきたときに、今の日本人並みに豊かな階層が大量に出現してきたときに、彼らがフランス、イタリア、スイスの製品を買うのか、日本製品を買うのか、日本の置かれている国際競争はそういう競争なのです。(中略)

 車でいうと、中国のメーカーに勝つとか、インドのナノに対抗して安い車を出すとかそういう話ではない。海外市場ではBMWやベンツにも十分伍していますが、その先のフェラーリに勝てるかということです。不動産開発でいうと、ドバイの超高層開発に勝つのではなくて、パリの街並みよりも資産価値の高い中低層の街並みを東京や大阪につくれるかということが本当の勝負です。」

 

 

どの方策も、実現は簡単ではありません。

日本の政治がどこまでできるでしょうか。

 

 

◆個人としての選択肢

 

国家としてではなく、ひとりの労働者として考えるとどうなるでしょうか。

どんな戦略が考えられるのか。

 

  1. スキルを磨き続け、世界を相手に勝負できる人材を目指す
  2. 法律に守られている公務員や、しばらく需要が見込める高度専門職を目指す
  3. これまでになかった道を探す

 

1は自分のちからに自信がある人向け。厳しい道のりになりますが、スキル次第でどこまでも上を目指せるため、やりがいはあると思います。日本の政策にも左右されないため、「信じられるのは自分の腕のみ」という方はぜひ。

 

2は医者や弁護士、税理士などの高度な専門職を目指す戦略。試験は超難関ですが、その分合格したときのメリットも大きいです。

公務員も、ひょっとしたら、定年まで逃げ切れるかもしれません。(日本が破綻すれば終わりですが・・・。)

これらの仕事は、ライバルも日本人に限られる上、競争のルールもシンプルです。

一生涯にわたる安心が欲しい、という方はここを目指す以外ないかもしれません。

ただ、このエリアは日本という国と一蓮托生という危うさがあります。

政治家が舵を取り損ねると、船ごと沈没するはめに・・・。

 

3は上記以外の、特殊な道です。

Aエリアの職業は、市場は巨大だが競争も熾烈。

Bエリアの職業は、競争は比較的マシだが需要がジリ貧状態。

ともに一長一短です。

では、この2つのエリアの美味しいところだけをいただくことはできないか

「日本人にしかできないが、世界市場で勝負できる」という働き方はないものか。

 

例えば、日本料理の修行を日本で積んで、海外で開業する。人間の味覚は10代半ばくらいで固まってしまうらしいので、外国人にはその味は簡単に真似できません。これは、「日本人にしかできないが、パイは世界市場」という一つの例です。

 

陶芸家の中村元風氏は、国内はもちろん、欧州など陶磁器の伝統を持つ国でも評価されるものをつくろうと、様々な努力を重ねたそうです。その結果、景徳鎮国際陶磁博覧会で2年連続銀賞受賞、そして平成22年には、上海美術館で外国人陶芸家初となる個展を開催。

中村氏の、海外に打って出るという姿勢・取り組みは、日本に大きな勇気とヒントをもたらしてくれました。

日本の伝統工芸、匠の技が世界に誇れるものであることは、疑いようもありません。

もちろん、外国人には簡単に真似できない。

「日本人にしかできないが、世界で勝負できる仕事」の好例だと思います。

 

上記の例からわかるように、日本の文化・伝統に関する技術は、日本人の独壇場です。

国内だけでなく、今後増加するアジアの富裕層にその価値を認めさせることができれば、「日本人にしかできないが、世界市場で勝負できる」という働き方になるかもしれません。

(長年の修行と不断の努力が必要なのは言うまでもありませんが・・・)

 

 

特殊な道のその他の例として、ITを駆使した働き方が挙げられます。

社会貢献活動でも創作活動でも、「3万人のファンから、年100円の支援金がもらえたら」食べていくことは可能です。

実際にブログで生計を立てている人、メルマガで生計を立てている人はいますし、さらには動画投稿で生計を立てている人までいるそうです。

こんな生き方が可能になったのは、ほんの最近のこと。

「それで食べていけるのは一部の天才だけだ!」という声もあるかもしれませんが、「挑戦者数万人・成功者一握り」のプロスポーツの世界とは違って、「これまでの挑戦者ゼロ人・よって成功者もゼロ人」という分野が無数に集まった世界です。これからどうなるか、だれにもわかりません。

書評ブロガー・小飼弾氏曰く、

「これからはかならずしもお金が得られないことに一生懸命になれないと、成功できなくなります。」

確立された安全確実な道ではありませんが、アイデアと努力次第では3の道は大いに発展する可能性があると思います。

 

 

◆まとめ

  • どこどこの企業に入れば一生安泰!というケースは今後ますます減っていく
  • 生涯にわたって自分を鍛え続けていく、という覚悟・情熱が必要になる
  • 日本人にしかできない、日本国内でしかできないが、顧客は世界規模、という働き方の開拓が急務

 

だらだら書いてきた割に、ありきたりの結論になってしまいました・・・。

 

 

【参考書籍】

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

10年後に食える仕事、食えない仕事

10年後に食える仕事、食えない仕事