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アイデアを生み出す力、膨らませる力、実行する力

知的生産

 

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アイデア人間、と聞くと、新しいアイデアを次々生み出す人というイメージがあります。

そういった「アイデアを生み出す力」が大切なのは、言うまでもありません。

しかし、世の中には「違うタイプのアイデア人間」もいるのではないかと考えています。

 

 

◆アイデアを膨らませる力

 

「新しいアイデアを生み出す力」と「些細なアイデアを膨らませる力」は別物ではないか、と私は考えています。

一見するとたいしたことない、取るに足らない思いつきや、誰もが知っているような、使い古されたアイデア。

そういった「地味なもの」をどんどん膨らませていき、新しいものへと育てていく。

これは立派な才能だと思います。

 

例えば、「嘘をついたら消される」という設定(アイデア)。

嘘をついたら消される、という設定は、思いついた瞬間に叫びながら風呂から飛び出すような斬新なアイデアではないかもしれません。

しかし、漫画「バクマン。」の中で、その1アイデアを膨らまし、設定を活かす手法を駆使して、大変斬新な作品になった例が描かれています。

 

作家の二階堂黎人氏は、本格ミステリーのトリック(アイデア)について以下のように述べています。

『トリックというものは、裸の美女のようなものです。それ自体はとても貧弱な存在であり、時には馬鹿げてさえ見えるものです。

(中略)

トリックも論理も、それ単体では脆弱であり、無味乾燥なものです。トリックや論理の周囲には、それらが世界で一番の美人――とんでもなく神秘的――に見えるよう、過剰なほどの装飾を施す義務が作家にはあるのです。』

 

それ単体で飛び上がるほどのアイデアが頭に浮かぶのを待つのではなく、「時には馬鹿げてさえ見える」ようなアイデアを、膨らまし、装飾し、コーディネートしていく。

これは「アイデアを生み出す力」とは別の、素晴らしい能力だと思います。

 

少し前にキュレーターという言葉が流行りましたが、独自の視点からアイデアを膨らます材料を選別・収集し、一つのものにまとめていく、という意味ではキュレーションに近いのかもしれません。

 

アイデアのクリエイターにはなれないな、と思っている人も、アイデアのキュレーターとして花開く可能性は十分あると思います。

 

 

 

◆アイデアを実行する力

 

もう一つ、アイデアにまつわる別の力があります。

それは「アイデアを実行する力」。

 

Youtubeインスタントという画期的なウェブサイトを、学生時代に生み出したフェロス・アブーカアディジェ氏は次のように語っています。

「アイディアなんてどこにでも転がっている。肝心なのはそれを実行することだよ。」

 

映画「ソーシャル・ネットワーク」のなかで、ジェシー・アイゼンバーグ演じるマーク・ザッカーバーグは、ウィンクルヴォス兄弟にこう言い放ちます――「君たちがフェイスブックの考案者だというなら、実際に君たちがフェイスブックを作り出していたはずだ。」

 

新しいアイデアをどんどん生み出せる人は、すばらしい。

しかし、その人の頭の中にあるだけでは、アイデアノートの中にあるだけでは、世の中は変わりません。

小さなアイデア、ささやかなアイデアでも、それを行動に移せる人はもっと素晴らしいと思います。

 

「ソーシャルデザイン」(グリーンズ編)という本で、そういった「グッドアイデアを実行する人々」が多数紹介されておりました。

思い入れのある街を離れるときに、今までの素晴らしい経験に感謝して、たくさんの劇場チケットと手紙付き風船250個を街中に飛ばした人。

エスカレーターを利用して、一枚のチラシで28万人にプロモーションした2匹のパンダ。

思いついても普通やらない・・・そんなアイデアを実行に移して、社会に変化をもたらした面白い例が盛り沢山でした。

 

アイデアを実行できる人もまた、素晴らしき「アイデア人間」だと思います。