読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私の生き方を変えてくれた本―――『こころの処方箋』

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)

 

河合隼雄著「こころの処方箋」。

私がこの本を読んだのは、たしか高校生の頃だったと思います。

『心の新鉱脈を掘り当てよう』という章に、まさに自分のことが書いてあって、当時、大きな衝撃を受けました。

以下引用。

 

「身体的には同じことをしていても「心」を使っていると、それだけ心のエネルギーを使用しているので疲れるのだ、と思われる。 (中略) そこで、人間はエネルギーの節約に努めることになる。」

「仕事など必要なことに使うのは仕方ないとして、不必要なことに、心のエネルギーを使わないようにする」

「他人に会う度に、にこにこしていたり、相手のことに気を使ったりするとエネルギーの浪費になる」

「そのくせ、疲れた顔をしたりしている」

 

ここまで、完全に学生時代の自分が書いてありました。

エネルギーの節約を意識してかしないでか、自分の興味がないことには手を出さない。

それ以前に、周囲のことにあまり興味がもてない。

ではその分のエネルギーを学業に費やしているかというと、そういうわけでもなく、常に疲れている。

まさに「怠け者」「無気力学生」の鏡でした。

 

そんな私でしたので、続けて書かれてあった「処方箋」が、たいへん心に響きました。

さらに引用。

 

「これとは逆に、エネルギーがあり余っているのか、と思う人もある。仕事に熱心なだけではなく、趣味においても大いに活躍している。」

「それでいて、それほど疲れているようではない。むしろ、人よりは元気そうである。」

 

あるある。

 

「人間の心のエネルギーは、多くの「鉱脈」のなかに埋もれていて、新しい鉱脈を掘り当てると、これまでとは異なるエネルギーが供給されてくるようである。」

「このように考えると、エネルギーの節約ばかり考えて、新しい鉱脈を掘り当てるのを怠っている人は、宝の持ちぐされのようなことになってしまう。」

「自分のなかの新しい鉱脈をうまく掘り当ててゆくと、人よりは相当に多く動いていても、それほど疲れるものではない。 (中略) 心のエネルギーの出し惜しみは、結果的に損につながることが多いものである。」

 

うーむ、今読んでもこころに沁みます。

心のエネルギーに、節約はない。

むしろエネルギー全開で毎日を送ることが、新たなエネルギー源を掘り当てることにつながる。

怠け者高校生だった自分にとって、けっこうな衝撃でした。

 

社会人になった今でも、決して自分は積極果敢なスーパーマンではありません。

しかし、この「こころの処方箋」を読んで以降は、「新しく何かを始める」ということに意識的になりましたし、そのことが新しい趣味、新しい友人につながることもありました。

その意味でこの本は、私の生き方を変えてくれた、恩人ともいうべき一冊です。

 

 

 

55章もありますが、章の一つ一つは4ページにまとめられているので、とても読みやすく、電車の中でも気軽に開けます。

そして、章の一つ一つが非常に濃い!

おそらく、読む人によって、最も「こころに響く」章は異なるでしょう。

また、読んだことのある人でも、時間をおいて読み返せば、新しい感動が得られる本だと思います。

私も最近読み返して、『灯を消す方がよく見えることがある』『すべての人が創造性を持っている』等の章で、改めて興奮を覚えました。

読む人の「こころ」の状態で、作用が変わるように書かれているのでしょうか・・・。

まさに、「こころの処方箋」。

 

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)