時間は、空間によって増やせるのか

 

趣味や知的生産の時間をどうやって確保するか。

忙しい現代社会において、多くの人が抱える悩みではないかと思います。

 

ビジネス書のコーナーにいくと、「朝早起きする」、「スキマ時間を活用する」といった時間捻出系のライフハックが多数紹介されており、その多彩さに驚かされます。

みんないろいろ工夫して、時間を確保してるんだなぁ、と。

 

時間に対する考え方の中で、特別に心に残っている手法があります。

名著『知的生活の方法』(渡部昇一著)の中の一節。

 

『「空間」によって「時間」が産み出せる』

『知的生活にとって、時間は空間によってその実質をなん倍にも引き延しうる。』

 

 

うーむ、なんという深い洞察でしょうか。

空間を変えることで、時間を増やす・・・。

この本の中で、著者の渡部昇一氏は、狭くてもいいから知的生活のための空間を確保すること、書斎における工夫などについて、例を挙げながら解説されています。

(知的生活に主眼を置いた家の設計図案まで登場します)

 

この本が書かれたのは1976年()。

当然ながら、電子書籍もクラウドストレージもない時代でしたので、本や参考資料をストックする空間について、多くのページが割かれています。

しかし、現代においても、「空間を快適にすることで、生産の時間をより豊かにできるのではないか」という渡部氏の洞察は、いささかも色褪せないと思います。

 

作業がはかどる場所。

集中できる場所。

リラックスできる場所。

それは人によって様々でしょう。

私もよく近所の喫茶店にいって、本を読んだり、ノートに雑想を書きなぐったりしています。

朝早起きして、通勤時間を知的生産にあてる人や、早朝のオフィスで作業するスタイルの人もいるそうです。

ひょっとしたら公園や河原で作業している人もいるかもしれません。

 

渡部氏の指摘で重要なこと。

それは、知的生産のための空間をより快適にする、という点においては、個々人でまだまだ開拓の余地があるのではないか、ということだと思います。

時間を増やすことは難しくても、空間を変えることで、生産の時間を濃密にする。

同じ「1時間」という時間でも、就寝前の自分の書斎が最高、という人もいれば、早朝の喫茶店がベスト、という人もいるし、半身浴中が最強、という人もいるでしょう。

書斎派の人なら、『知的生活の方法』で紹介されているように、書斎に主眼をおいて住環境を見直すことも可能です。

知的生産のための貸しスペース、というビジネスも盛況のようで、これらを利用するのもいいかもしれません。

(参考記事)名古屋に「現代のトキワ荘」があった!?漫画を読むだけでなく”描ける”漫画喫茶とは

 

時間の長さだけではなく、自分の脳がベストパフォーマンスを発揮する場所を追求する。

長い目でみれば、それも自分への有意義な投資になるのではないかと感じました。