才能をすくいあげるシステム

 

優れた才能をすくいあげる、という仕組みがうまく機能している分野があります。

 

例えば、野球。

日本は野球がとても盛んです。

プロ野球を頂点に、少年野球、高校野球、大学野球、社会人野球、独立リーグ・・・などなど、裾野は大きく広がっています。

「野球がやりたい!」という若者には、常に門戸が開かれている。

プレーする中で実力が磨かれれば、自然と注目され、上へ上へと吸い上げられていく。

そうやって集められた選りすぐりの才能が、毎年プロ野球の世界へと入っていきます。

「野球の才能」を発掘する仕組みは、相当完成されていると思います。

 

例えば、囲碁や将棋。

インターネット上で対局することが可能になり、24時間、いつでもどこでも実戦を積めるようになりました。

「近くに強い人がいない。指す相手がいない。」という状況は、もはやありません。

ネットさえつながっていれば、世界中の猛者と対局できるのですから。

24時間365日おこなわれる膨大な「予選」の果てに、叩き上げられた才能たちが浮上してきます。

 

上記のようなプロスポーツは極端な例だとしても、例えば「すごい書き手」を発掘する仕組みとして、各種文学賞がありますし、音楽やアートの才能を発掘するために、毎年様々なコンテスト・コンクールが開催されています。

 

小学校に始まる各教育機関も、多様な才能を見出し、育て上げる役割を、もっと期待されるべきでしょう。

しかし現状は、うまく機能しているとは言いがたい状況です。

今の教育システムが効率的にすくいあげているのは「暗記する才能」「出された課題に対して制限時間内に答えを出す才能」ではないかと思います。

この極めて限定された作業が苦手であったために、毎年大勢の若者が「でき損ない」「頭が悪い」「才能がない」という烙印を押され、自信を失っていく。

大変悲しいことだと思います。

 

インターネットの普及は、これまで埋れていた才能を見つけ出し、すくいあげるシステムを大幅に強化しました。

経済評論家の三橋貴明氏や、「作ってあげたい彼ごはん」で有名なフードコーディネーター・SHIORI氏、フェイスブックでブレイクしたミュージシャン・高井俊輔氏など、ネット上の活動をきっかけとして大きく飛躍した方の例は、枚挙にいとまがありません。

 

勝ち負けがはっきりと出るスポーツは別にして、文芸やアートなどの、評価の物差しが一定でない分野では、際立った個性・独自の視点こそが「才能」となる場合があります。

そういった多様な才能をすくいあげる仕組みが、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。

学校の勉強が苦手というくらいで「落ちこぼれ」扱いする社会は、埋もれた才能にさらにフタをする、非常にもったいない社会だと思います。