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それでもGoogleは進撃しないのか

少額決済

 

日本で少額送金サービスを展開する「ポチ」や「Grow!」は、個人的に注目していますし、普及してほしいとも思っています。

その一方で、世界のインフラに成長するまでの道のりは、平坦ではないなぁとも感じています。

 

「普及すれば世界を変える」とも言われる超少額送金サービスですが、実際に世界インフラとなることを終着駅とした場合、どのプレイヤーが最も有力なのでしょうか。

人によって予想は様々だと思いますが、私はGoogleに本命◎印を打ちたいと思います。

以下にその理由、というか暴論を述べます。

 

 

理由その1: 既にクレジットカード番号を入手している

 

超少額送金をする場合、一番ネックになるのは「事前にクレジットカード番号を入力する手間がかかる」という点である。

番号流出・ネット詐欺などの心理的な不安もあるし、できればクレジット番号の入力は控えたい。

ましてや、ほんのわずかな金額を送金するためだけにそんな手間はかけたくない、というのがユーザーの自然な感情であろう。

ベンチャー企業がこの事業に参入する時、「いかにして利用者にクレジットカードの番号を入力させるか」という大きな壁が、スタートしてすぐに立ちはだかるのである。

 

ところがGoogleAppleAmazon、楽天などのいわゆるプラットホーム企業は、すでに大勢の利用者のクレジットカード情報を持っている。

世界トップシェアを誇るAndroidOSにおいて、アプリを購入する際、多くの人がGoogleの決済システムにクレジットカード番号を入力しているはずだ。

Google(や他のプラットフォーム企業)は、壁を超えた地点からレースがスタートするのである。

こんな不公平な競争はない。

 

 

理由その2: 傘下にYoutubeを抱えている

 

投げ銭型の超少額送金サービスを考えるとき、その導入候補として、誰もがすぐに思いつくのが動画共有サイトYoutubeだろう。

ユーザー数4億人以上、一日あたりの動画再生回数が40億回というモンスターサイトである。

 Googleなら、このYoutubeを実験場として、超少額送金システムを開発することができる。

 圧倒的ユーザー数を誇り、広く浸透したYoutube投げ銭が採用されれば、たちまち多くの人を巻き込むことができるようになる。

 

また、利用者の使い勝手を考えた際、この投げ銭型のサービスは最も求められる条件が厳しい、ということを以前に書いた。

つまりYoutubeでうまくいくサービスなら、ネット上のどんなサイトにも適用できるはずである。

その時は楽々とキャズムを超えるだろう。

 

 

理由その3: 儲かる本業を他に持っている

 

超少額送金サービスは儲からない、のだと思う。

もし大きな収益が見込めるなら、とっくにどこかの企業が始めているはずである。

どうしても手数料を高く取らざるを得ない。

(「ポチ」や「Grow!」の手数料は、送金額の約30%である)

超少額送金サービスの事業者は、軌道に乗るまでの体力が求められるのだ。

 

ではどうするか。

 

考えられるのが、他に収益を挙げられる「本業」を持っている方が望ましい、という点である。

さらに、超少額送金サービスが、その本業にプラスの効果をもたらすことができれば、なお良い。

 

すでにお気づきだと思うが、まさにこれはGoogleの望む展開である。

広告収入という本業だけで、十分な収益を挙げているからだ。

便利なサービスを無料で提供する → 利用者を集める → 広告収入の増加

というのは「何度も通ってきた道」であり、様々な前世紀ビジネスモデルを粉砕してきたGoogle伝家の宝刀である。

 

少額送金サービスが実現される → 世界中のクリエイターの創作インセンティブが高まる → オープンなWeb上のコンテンツ増加 → Webの利用者増加

という展開は、Googleの基本戦略から外れてはいないはずだ。

 

 

理由その4: 途上国の利用者を取り込める

 

途上国には、未だインターネットにつながっていない人が何十億人もいる。

インターネットの利用者増が自社の売上増に直結するGoogleにとって、途上国は未開拓市場であり、いかにして途上国の人々にインターネットを(というかGoogle検索を)使ってもらうかが勘所となる。

私は「超少額」という言葉を繰り返し使っているが、忘れてはならないのは、先進国の人にとって超少額でも、途上国の人にとっては超少額ではない、という点である。

 

世界中の人とつながり、おひねりをもらう可能性が開かれている、というのは途上国の人々にとって、どう映るだろうか。

Googleというサービスを是非利用したい!という動機づけにならないだろうか。

Android、クロームOSを搭載した安価なネット端末と、セットで普及すると、大量のトラフィックGoogleに流れ込むはずである。

 

 

理由その5: Google+というSNSを持っている

 

超少額送金サービスはソーシャルメディアとの相性が良い。

相手のことを詳しく知ることで、「応援したい」という感情が芽生える可能性が高まるからだ。

 

目下、GoogleSNSGoogle+」を強烈に推進し、Facebookを猛追している。

Facebook内の人間関係や「いいね!」ボタンによる共有情報などはGoogleの検索対象にならない。

放っておくと「どのコンテンツが人から喜ばれているか」といった、検索に必須な情報が入手できなくなり、最強の武器であるGoogle検索の精度が低下してしまう。

 

したがってGoogleは、ユーザーがFacebookから引越ししたくなるよう、(あるいは両方でアクティブユーザーになってくれるよう)Google+の魅力を高めていかねばならない。

そのための機能の一つとして、超少額送金サービスはどうか、と思うわけである。

 

 

以上、勝手な予想の根拠を述べてきたわけだが、何一つとして目新しいものはない。

どれもとっくに議論されていることである。

当然、Googleもこれらのことは検討済みのはずだ。

投げ銭というアイデアは前世紀からあちこちで検討されている)

 

検討されているはずなのに、いまだGoogleは、この分野に進撃してこないのである。

 

参入してこないということは、参入に値しない理由があるのだろう。

技術的に難しい、ということはあり得ない。

儲からない、というのも理由としては弱い気がする。

 

考えられるのは、「法律の壁があってできない」、「訴訟、セキュリティ、システムトラブルなどのリスクが高すぎて割に合わない」といった理由だろうか。

たしかに少額とは言え、お金を扱う以上、様々な犯罪に利用される恐れはあるし、金銭問題からの訴訟リスクも高まるだろう。

多くのサービスをGoogle+に統合し、フェイスブックとの最終決戦に備えている今、割に合わないトラブルで企業イメージを損なうのは避けたいのかもしれない。

 

私にはこれ以上のことは思い浮かばないが、巨人Googleをもってしても「やりたくない事業」ならば、いずれ「ポチ」や「Grow!」も大きな困難に直面することになるのだろうか。

 

 

 

また長々と暴論を書いてしまった・・・。

Googleならできそうだなぁと思うんですが、実際のところどうなんでしょうか。

どなたかご教示いただけたら幸いです。