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投げ銭と少額決済のあいだ

少額決済

 

Web上のコンテンツに対して、少額のお金をやりとりする。

感謝の気持ちとして。応援の証として。あるいはシンプルに代価として。

 

そんなサービスについてあれこれ思いを巡らせていたのですが、よく考えてみると、目的や利用されるシーンによって、サービスの性格が微妙に変わってくることに(今さらながら)気づきました。

 

そこで、一般的に「超少額決済」と言われるサービスを、いくつかの視点から、自分なりに整理してみたいと思います。

 

 

視点その1: コンテンツを見てからお金を払うのか、お金を払ってからコンテンツを見るのか

 

これは以前より指摘されていた有名な分類です。

(参考サイト) ろじぱら的『Web投げ銭』の定義

路上で素晴らしいパフォーマンスを見て、「ブラボー!」と叫びながらおひねりを帽子の中に投げるのが前者。

最初に入場料を払って、劇場の中でパフォーマンスを見るのが後者です。

 

ネット上のコンテンツに当てはめると、無料の素晴らしいコンテンツを見て、「なんとか感謝の気持ちをお金で支払いたい!」と(義務でもないのに)お金を振り込むのが前者。

有料会員専用のWeb新聞や、「1ページ○円課金」のWebマガジンなどが後者になるでしょうか。

 

 

視点その2: お金を払うとき、見返りを求めるか

 

これも上記の参考サイトに言及があります。

路上パフォーマンスに感動しておひねりを投げる際、それは純粋に「感謝のきもち」であって、さらなる見返り(そのギターよこせetc)は求めていないはずです。

ありがとう、といった返事くらいは期待しているかもしれませんが。

感謝の気持ちとして小銭を投げるとき、「見返りを求めない」というのはマナーだと思います。

 

それに対して、事前にお金を払う場合(入場料や会員料金)は、当然それに応じた「見返り」を求めます。

入場料を払って劇場に入るのは、素晴らしい舞台を期待しているからです。

 

 

視点その3: お金を払うときの心理状態

 

良質なコンテンツに感動しておひねりを投げるとき、観客は普通、興奮状態です。

拍手し、口笛を吹き、「ブラボー!」と叫ぶ。

小銭入れを開き、適当にお金を投げるでしょう。

「今のパフォーマンスの適正価格は5円だろうか?10円だろうか?」などと、冷静に判断する時間はありません。

 

一方で、インターネット上で買い物をする場合、消費者は冷静です。

少額であっても、見返りのコンテンツの価値を考え、そして手続きに必要な「手間」というコストを考えます。

 

 

視点その4: コンテンツ制作者とのつき合い

 

偶然見つけたコンテンツでも、その内容が素晴らしければ、例えその作者のことを全く知らなくても、賞賛の拍手は巻き起こります。

ネット上で買い物する場合、その製作者のことを詳しく知らなくても、見た目で判断して買うことはあり得ます。

 

一方で、作者とつながることで、別の展開が生まれるかもしれません。

コンテンツ制作者とひょんなことから知り合いになり、そのビジョンに共感した、才能の片鱗を感じたといったとき、「応援する」「投資する」という目的で、資金面のサポートをしたくなる、というケースです。

 

 

視点その5: 友人に知らせたいという心理が働くか

 

おひねりを投げるほど感動する出し物であれば、友人に知らせたいと思うかもしれません。

ファンになりたいと思うほど素敵なアーティストがいれば、それも友人に知らせたくなるでしょう。

 

ただ、インターネット上で買い物をする場合はどうでしょうか。買ってみて素晴らしいものと判明すれば、友人に勧めたくなるかもしれません。ただ購入する時点では、いちいち「買ったことを教えよう」とは思わないかもしれません。

 

 

以上、5つの視点から考えて、整理した結果、こうなりました。

 

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独断と偏見に満ちた、勝手な分類です。

物言いがつくことを期待しています。

 

 

Ⅰ.投げ銭

 

古くから「Web投げ銭」と言われていたタイプのサービスです。

無料の素晴らしいコンテンツを見て、感動し、おひねりを投げる。

導入候補として、Youtubeニコニコ動画が挙げられます。

また、目からウロコが落ちるブログの記事、物事の核心をついたツイートなどにもおひねりを投げたくなるかもしれません。

 

もちろん、投げ銭に見返りは求めません。

 

他のタイプと異なるのは、コンテンツを見た直後の、観衆が軽い興奮状態にある時が「おひねりのもらい時」という点です。

帽子を差し出すのは、出し物が終わった直後でないといけません。

コンテンツを見て、「素晴らしい!」と思った瞬間に、【ボタンを押すだけで10円投げ銭できる】といったシンプルな設計が求められます。

手続きが複雑だと時間が経ち、興奮が冷めてきて、「もういいや」となってしまうでしょう。

 

コンテンツ製作者のことを知らなくても、投げ銭は十分起こりえます。

 

また、投げ銭するほどの動画なら、友人にも教えてあげたいと思うでしょう。ソーシャルフィルタリングとの相性もいいと言えます。

 

 

Ⅱ.感謝型

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コンテンツの作者に感謝を表明するタイプです。

上記の投げ銭型も、感謝の気持ちをおひねりとして投げるものですが、感謝型は一時の興奮に左右されない、「感謝の気持ちがだんだん積もってくるコンテンツ」がターゲットになります。

わかりやすい例としては、無料アプリの製作者などが対象になるでしょうか。

スマートフォンのアプリには、「なんでこれが無料なの?」というほどハイスペックなものがあり、さらに細かなアップデートで改良されていくものさえあります。

使ううちに感謝の気持ちが湧いてきて、作者のホームページでポチッとな、というケースが考えられます。

他の例としては、「初回の感動はそれほどでもないが、定期的にお世話になるサイト」として、各種まとめサイト、礼儀・マナー指南サイトなどが挙げられます。

 

このタイプも感謝の気持ちを表明するものなので、当然見返りは求めません。

 

積もった感謝の気持ちが大きければ、多少の手続きも踏んでくれるかもしれません。(もちろん1クリックで送金できればそれに越したことはありませんが・・・)

 

コンテンツとの接触時間が伸びていくため、作者のことを意識する可能性もあります。SNSとの相性はいいと思います。ソーシャルフィルタリングにも使えるでしょう。

 

 

 

Ⅲ.共感・寄付・支援・投資型

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上記の2タイプが「すでに消費したコンテンツに感謝の気持ちを送金する」ものであるのに対し、タイプⅢは「コンテンツを見せてもらう前に送金する」ものです。

このタイプはまず、コンテンツ作者とユーザーがつながることを前提としています。

コンテンツ制作者が、自分のビジョンや理想、作風を提示する。

それに共感し、「支援したい」「ビジョン実現に向け投資したい」といった人々が、少額のお金を送金する、というケースです。

いわゆる「ソーシャルパトロンサービス」です。

 

見返りを求めているかどうかは、一概に言えないところがあります。

感謝の言葉と「最終的にいくら集まって、何に使ったか」の報告だけで十分という場合もありますし、寄付であればそれすらも不要かもしれません。

アメリカのKickstarterというサイトでは、募金の見返りはアーティストによって様々ということです。

 

このタイプは、コンテンツ製作者のビジョンあってのものですから、SNSの利用が不可欠といえます。

ただ寄付や投資について、友人に勧めるか否かは、ケースバイケースかもしれません。

 

 

Ⅳ.少額決済型

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これはネット上で商品を買う、というシンプルなタイプです。

(代金がとっても安いという特徴がありますが)

購買活動ですので、通常は代金を払う→コンテンツを入手するという流れになります。

 

見返りは当然期待します。(商品という見返りをゲットするためにお金を払うわけですから)

 

現在普及しているサービスでは、AppStoreitunes、電子書籍ストア、メールマガジンなどが挙げられるでしょう。プラットフォーム型サービスが多いですね。

 

ユーザーの心理は冷静です。

そして冷静であるがゆえに、以下のような問題点が指摘されています。

 

『いくら金額が安くなっても、消費者はその価格の妥当性を考える。だが、あまりに安くなると、今度は考える手間、心理的なコストが相対的に上昇し(つまり割に合わなくなって)、買うのを止めるだろう。』

 

これはジョージ・ワシントン大学で経済学を教えるニック・サボ氏の研究によるものです。

そして氏は、このようなビジネスモデルは全て失敗する運命にある、と結論づけたそうです。

(参考:『FREE 〈無料〉からお金を生み出す新戦略』)

 

先に上げたプラットフォームは、一定額以上の商品がほとんどです。

1ページ1円、といった課金方法は難しいのかもしれません。

 

 

以上、勝手に分類してみました。

かなり無理して分けているところもありますが・・・。

今後、サービスの導入例などを見ながら改良していけたらと考えています。

 

 

こんな長文になってしまった・・・。

もっと要点を絞ってまとめるようにしないと・・・。