超少額決済(マイクロペイメント)とSNS

 

ネット上にあるコンテンツは無料が当たり前!

・・・という価値観がすっかり定着してしまいました。

インターネットはクオリティの高い無料コンテンツであふれかえっています。

時間つぶしには事欠きません。

 

 

その一方で、「感謝の気持ちをお金で支払いたい!」「クリエイターを支援したい!」というニーズは少なからずあり、1円~100円くらいの少額のお金を、直接コンテンツ製作者に届けることができないか、模索・検討が続けられてきました。

(コンセプト自体は90年代から議論されていた模様です)

 

梅田望夫氏は著書の中で次のように述べています

『誰かから一円貰うコストが一円よりもずっと小さいとすれば、「不特定多数無限大の人々から一円貰って一億円稼ぐ」ネットビジネスは現実味を帯びてくる。』 (「ウェブ進化論p19

 

これは、ほんのわずかなお金であっても、それを集めて回るコストが非常に小さいネット世界ならば、無限に近い人々から集積することで、大きな額にすることができる、というインターネットの特性を指摘したものです。

 

インターネットによって、誰もが不特定多数無限大の人々と(理論上は)直接つながることができるようになりました。

ネット上に何らかのアウトプットを提示し、それが一定数の人々の賞賛を得ることができれば、そしてほんのわずかでも対価を得ることができれば、インターネットはその「おひねり」を集積し、まとまった金額にすることができる。

世のクリエイターにとって、これは非常に魅力的なビジョンであると言えます。

 

ところが、このビジョンは、2012年現在にいたっても、まだ実現したとはいい難い状況にあります。

たしかにAppleamazonのプラットフォームによって、コンテンツの対価を世界中から集めることは可能になりました。

しかしプラットフォーム側から様々な制約を課せられることも多く、手数料も(当然ながら)ある程度発生します。

Paypalなどの少額決済サービスにおいても、手数料は一定の割合で必要になるため、現実的には「一円ずつ集めて回る」のは、インターネット上でも実現できていません。

 

また、未だ普及にいたっていない理由として、事前の手続き(ポイントの購入、クレジットカード登録など)が心理的な障壁となっている可能性も挙げられます。

 

「素晴らしいコンテンツには対価を払ってもいい」と多くの人が思っているのは確かですが、実際にネット上でおひねりを投げてもらうためには、背中の一押し、最後の仕掛けが不足していたのかもしれません。

 

 

 

ここ数年、NECビッグローブの「ポチ」や、ベンチャー企業が開発した「Grow!」など、ネット上で投げ銭するためのサービスが再び注目を集めています。

 

両サービスとも、クリエイターへの「感謝」や「リスペクト」の気持ちを、少額送金によって表明するという、良い意味でクラシックな投げ銭サービスです。注目されている理由は、急速に普及するソーシャルメディアが、両サービスの下地となっている点です。

 

影響その1.投げ銭したくなるほど)素晴らしいコンテンツとの出会いが増えた

フェイスブックやツイッターの普及によって、良質なコンテンツは口コミであっという間に評判が広まるようになりました。その結果、無料で観たら申し訳ない、投げ銭したくなるほど素晴らしいコンテンツと出会う機会が増えていくと考えられます。

 

影響その2.「いいね!」ボタンで良いコンテンツを友人に知らせる。その延長としての「投げ銭

フェイスブックの「いいね!」ボタンや、Google+の「+1」ボタンのように、コンテンツに対するポジティブな評価を、友人と共有する仕組みが一般化しました。いい情報を友人に教えてあげたい、面白いコンテンツを共有したい。その延長としての投げ銭。「お金を払いたくなるほど素晴らしいコンテンツだよ!」という表明手法としての投げ銭が注目されるようになっています。

 

影響その3.クリエイターと密接につながることができるようになった

ソーシャルメディアによって、クリエイターと消費者がより密接につながることも可能になりました。クリエイターは自分の理想やビジョンを自由に語ることができ、それに共感したファンから「金銭的に支援したい」「応援したい」というサポートの機運が高まる、という流れが自然に発生しています。

 

両サービスとも、まだスタートしたばかりであり、広く普及していくかどうかはわかりません。

しかし少額送金サービスは、普及すれば、個人の活動の可能性をさらに広げるという意味で、世界を変えるほどのインパクトを秘めていると思います。

投げ銭サービスの今後の展開には、個人的にも大きな期待を寄せています。