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「一億総クリエイターの時代」って何だろう

クリエイター

 

ブログやYoutubeが普及した頃から、「一億総クリエイター」という単語がメディアで散見されるようになりました。

 

「一億総クリエイターの時代」って、いったい何でしょうか。

 クリエイターという言葉のとらえ方は、人によって様々です。

 クリエイターを生き方、あり方として考えるなら、趣味で何かをつくっている人はもちろん、レゴブロックで遊ぶ小学生や、日常業務で工夫・改善を図る人も立派なクリエイターと言えるでしょう。

 一方でクリエイターを職業として考えるなら、創作物が評価され、経済的な対価を得ることが条件となり、一気に敷居の高いものになると思います。

 このギャップが背景にあるが故に、「一億総クリエイターの時代」などと言われても、人によってとらえ方はバラバラになってしまうでしょう。

 

極端な話、小学校でも詩や俳句の創作は一般的に行われているため、とっくに一億総クリエイターとなっている、とも考えられるし、全員が創作で稼げるはずがなく、一億総クリエイターなんて幻想だ、とも言えると思います。

 どちらが正しいということはなく、クリエイターという言葉のとらえ方の差異によるものでしょう。

 (一億総プロ野球選手化と、一億総野球愛好者化では、意味するところが全く違ってきます)

 

 一方で、インターネットの普及とソフトウェアの多様化により、昔に比べて「個人ができること」は明らかに高度化・多様化しており、「趣味でつくったものをどうするか」という選択肢は確実に増えてきているように思えます。この変化について、以下で考えてみたいと思います。

 

仮に「趣味で作ったものを世の中に発表したい、あわよくば販売したい」という人がいたとしましょう。

 いったいどういった手順が必要になるでしょうか。

 

 

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A

まず「ものをつくる」必要があります。

リジナルのものであれば何でも大丈夫です。

手芸品、木工品、日曜大工でつくった家具、フィギュア、プラモデルetcといったモノらしいもの。

自分で書いた小説や詩集、評論、ビジネス書、ガイドブック、レシピ集etcといった書籍系のもの。

プログラミングしてつくったアプリケーション系のもの。

企画やビジネスプラン、音楽、ノウハウ、ファンとして集めた情報etcといった形なきもの。

挙げればきりがありませんが、自分が好きなもの、楽しみながら作れるもの、こだわりがあるものがいいかもしれません。この【A】の過程が最も楽しく、他人に発表しなくても十分幸せ、という方も多いと思います。

この創作という行為自体を補助するツールも高度化し、かつ安価になってきており、個人でつくれるものはどんどん増えています。

こどもでも簡単にゲームがつくれるというプログラム言語「スクラッチ」。

誰でもマンガが作れるソフト「コミPo!」。

電子書籍が簡単に作れるソフトや、動画が簡単に編集できるソフトもあります。

今や興味さえあれば、プロ養成学校に行かなくとも、つくる楽しみ、作品が完成する喜びを味わえる時代になりつつあります。

 

B

つくったものを世の中に発表する場を準備します。

近年大きく変化しているのがこの【B】の部分です。

従来は作品を発表できる場は非常に限られていました。文学賞やコンテストに応募する、自費出版する、路上ライブする等、リスクの割に注目してもらえる可能性が低い方法、限られた一部の人にしか作品が届かない方法がほとんどだったと思います。

ところが、今はブログで誰でも世の中に向けて発表できますし、SNSを使うこともできます。

パブーやAppStoreitunesなど、発表・販売のプラットフォームがある分野なら、プロの作品と同じ商品棚に並べてもらえるようになりました。

 

C

発表したものを見つけてもらう必要があります。

情報爆発の時代、この「見つけてもらえるか」が大きな課題となっています。

ネット上で発表しても、他の情報の洪水に飲み込まれてしまい、誰にも見つけてもらえない事態も十分考えられます。

プラットフォームも高レベルの作品で溢れており、AppStoreを例にとると、販売されているアプリケーションは20万本以上!

商品棚には並べてもらえても、消費者に手にとって見てもらうのは、困難と言わざるを得ません。

一方で、SNSのように特定の人に情報を届ける仕組みも整備されつつあります。

ツイッターのフォロワーには作品のことを伝えることができますし、フェイスブックの「いいね!」ボタンで作品の評価が伝播していく可能性もあるでしょう。

ブログも頻繁に更新し、ログが一定数たまれば、検索エンジンにヒットする確率が高まります。

自分の作品を見つけてもらえるかどうかは、発表前・発表後の努力や工夫にかかっているとも言えます。

 

D

作品を評価してもらえるか。購入してもらえるか。

これはあなたの作品の質にかかっています。

万人に評価されるものを作るのは大変難しく、購入してもらうのはさらにハードルが高くなります。

(特にネット上のコンテンツは、無料が当たり前という価値観が根付いており、実際、無料かつ高品質のコンテンツは探せばいくらでも出てきます。)

 

 

以上、大雑把に4つのパートに分けてみました。

誤解のなきよう述べておきますが、これは決してクリエイターとしての程度の上下を意味するものではありません。趣味で模型を作り自室に飾って楽しんでいる人と、作品を販売している人のどちらがすごいのか、という話ではありませんので、念のため述べておきます。

 

A】と【B】の部分でも触れましたが、近年のITの発達は、作品をつくること、つくった作品を世の中に発表することの大きな助けとなりつつあります。これまで個人ではつくるのが難しかったものがつくれるようになり、会ったこともない人に向けて作品を発表することも可能になりました。

C】についても、検索エンジンの改良やソーシャルフィルタリングなど、新しい手法が模索されています。

 

「一億総クリエイターの時代」とは、誰もが【D】の部分まで簡単に到達できる、という意味ではなく、【A】【B】【C】の部分をテクノロジーが手伝ってくれる時代だと私は考えています。

誰もが創作で簡単に儲けられる時代、という意味ではなく、誰もがつくる楽しみを発見し、完成させる喜びを体感し、そしてつくったものを通して誰かとワイワイ話して楽しめる、そんな時代。

 

現時点では課題も多く、本当に実現されるかはわかりません。

つくった作品がみつけてもらえるかどうかという問いは、「情報をいかにして必要とする人に届けるか」というインターネットの課題ともつながっており、しばらく試行錯誤が続くと思います。

そして作品が評価されるかどうかは、当たり前ですが、作品次第ということになるでしょう。

近年は、「作者へ感謝の気持ちを表したい」「作品の対価を支払いたい」といったニーズに答える少額送金サービスも登場しており、【D】の部分にも変化の兆しが見られます。このテーマについては、後日改めて考えたいと思います。